山口県光花火大会、2025年は中止になる理由は
毎年夏の風物詩として多くの人々に親しまれてきた山口県光市の「光花火大会」が、2025年は中止となることが決定しました。戦後から続く伝統的な花火大会が見られなくなることに、地元住民や観光客からは残念がる声が多く上がっています。なぜ中止に至ったのか、その背景と今後の可能性について詳しく見ていきます。
中止の背景は財政難とコスト増加
光花火大会は毎年約8万人が訪れる大規模なイベントですが、開催には多額の費用がかかります。これまで光市は補助金を支出し、運営を支えてきました。しかし、2025年度は財政難の影響で補助金を見送ることになり、主催する市観光協会は自力での資金調達が難しく、中止を決断しました。
コスト増加も大きな要因です。近年、ロシアのウクライナ侵攻の影響などで花火の原料となる火薬が高騰し、人手不足による警備費の上昇も重なり、運営費は年々膨らんでいました。2024年の大会では、市の補助金を550万円に増額し、さまざまな工夫で増収を図りましたが、それでも不足分を埋めることができませんでした。
観光協会の苦悩と市の判断
光市観光協会は、毎年200万円ほどの不足分を独自に補填しながら運営を続けてきました。しかし、2025年度はさらにコスト増が見込まれ、市からの補助がなくなることで、開催は困難になりました。観光協会の松原真喜雄会長は「楽しみにしてくれている方が多いだけに申し訳なく、残念だ」と語っています。
一方、市の財政状況も厳しさを増しています。2025年度の一般会計当初予算は244億円と前年よりわずかに減少。さらに、財政調整基金を12億円取り崩す必要があり、法人市民税の収入も3割以上減少する見込みです。このような状況下で、一過性のイベントよりも地域振興につながる事業を優先する方針が打ち出されました。
周辺地域の対応と今後の展望
光市が補助金を打ち切る一方で、同じ時期に誕生した周防大島町では、2025年度も132万円の補助金を支出し、花火大会を支援することが決定しています。「予算規模を考えれば補助金の額は大きくない。町民の楽しみを守るために継続する」との意向を示しています。
光市では、今後の開催についても一定の可能性を残しており、虹ケ浜の観光振興策を募るために700万円の予算を計上しています。市は「寄付やクラウドファンディングを活用すれば、再開も不可能ではない」としていますが、具体的な計画はまだこれからの段階です。
市民の声と今後の可能性
光花火大会が中止になることに対し、地元住民からは「夏の楽しみがなくなってしまう」「地域の活性化につながるのに残念」といった声が多く聞かれます。また、観光業界からも、集客の面で影響が出ることを懸念する声が上がっています。
一方で、花火大会を復活させるための動きも期待されています。企業や市民の寄付を募るクラウドファンディングの活用、自治体や企業との連携強化など、資金調達の新たな方法を模索することで、将来的に開催が再開される可能性もあります。
まとめ
光市の花火大会中止は、財政難やコスト増加といった厳しい現実を反映しています。しかし、市民や観光業界の間では開催を望む声が根強く、今後の動向に注目が集まります。
現時点では、花火大会の復活には資金調達が大きな課題ですが、クラウドファンディングや企業スポンサーの活用など、新しい形での開催が実現する可能性もあります。地域の活性化につながるイベントとして、再び夏の夜空を彩る日が訪れることを期待したいところです。
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